東京農業アカデミー 八王子研修農場

卒業生インタビュー

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第2期生
(2021年度)

中村 早緒理さん

就農地:国立市

栽培作物

ナス、コマツナ、ラディッシュ、トマト、キュウリ、ラッカセイ、ネギ、サトイモ、その他葉物野菜など

技術面・経営面の両方で、アカデミーに行って良かったと感じることはなんですか?

「農家の視点」を学べたことです。私は農業関係の高校と大学に通っていたので、農学的な植物に関する知識はあったものの、農家に必要な「収益を上げる」ことについてはアカデミーでの勉強が役立ちました。
アカデミーでは、収益性の高い農業を実現するために気を配るべきポイントを実践的に学びます。大切なのは、お客様に喜んで買っていただけるような「きれいな野菜」を「たくさん」つくること。品種の選び方や農薬散布のタイミング、販売時の包装資材の選び方まで、農家の視点で研修できました。

ライフスタイルに何か変化はありましたか。

就農前は1年半ほどアルバイトや派遣の仕事を経験しました。比較的時間の自由がきく仕事でしたが、時給で働いていたころと今では仕事に対する感覚がまったく違います。今は1 時間働いたからといって時間分の給料がもらえるわけではないし、管理作業をしている時間だけを見ると収入はゼロ。だから、作業の省力化を常に意識しながら行動しています。やるべき仕事とやらなくていい作業の見極めがつけられるように、経験を積んでいきたいです。

同期メンバーやアカデミーにいた事で出会えた農業関係者とその後も情報共有をしていますか?その後ご自身の人脈につながっていますか?

農家派遣研修で、就農予定地域の農家さんとのご縁ができ、農業以外の分野で活動している地域の人たちとのつながりも広がりました。共通の知人がいるだけでコミュニケーションがスムーズに進みますし、地域で農業をするには農家同士の横のつながりは必要不可欠です。農地を探す際も助けられました。
アカデミーの同期メンバーとはお互いに忙しいこともあり就農してからは集まっていませんが、ときどきLINEで情報共有をしています。

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農地やハウスなどの施設はどのように確保されましたか?

アカデミー入講前の説明会で、農場長から「自分で今から農地を探しておいた方がいい」という話を聞いていたので、事前に地域の農家さんに相談していました。その後、農家派遣研修先の方が、農地の所有者に声をかけてくださって、自分でも地主さんのところへ何度も足を運びましたね。国立市では都市農地貸借法(都市農地の貸借の円滑化に関する法律)を活用した就農は私が初めてでしたが、行政担当者も積極的に動いてくださり、比較的スムーズに話が進みました。それでも、農地を探し始めてから契約に至るまで2年かかりました。
初期投資は、手持ちの耕運機とマルチャーなどの農機具、小型ハウスを自己負担で購入したのみ。トラクターは地主さんが貸してくださっていますが、まだ出番はありません。

アカデミー卒の新規就農者として営農を開始したところですが、現在の状況(良いこと・悪いことなど)を教えてください。

私の農地は住宅街の中の、両サイドに住宅が接する場所にあります。日ごろから近隣の方にごあいさつをしたり、雑談をしたり、コミュニケーションを心がけているので、苦情が来ることもなく作業できています。地域の方は、畑での野菜直売のお客様でもあり、応援していただけていると感じています。
大変だと思うことは、収穫期の予測が難しく、収穫したいタイミングと実際に収穫できる時期にズレがあり、安定した収量を確保できないことです。販売開始当初は、お客様の要望に応じられないこともありました。
現在の主な出荷先は、地域の小売店と飲食店ですが、少しずつ慣れてきて、それぞれの売り先にいつ何がどれくらいあるかを連絡することで、在庫が残らないように販売するなどの工夫ができています。

今後の農業経営の目標や抱負などを教えてください。

まずは、取引先や地域の方から信頼してもらえる、生産技術のある農家になりたいです。アカデミーでは多くの品目の栽培を経験しましたが、現在は需要に合わせて栽培経験のない野菜も育てています。病害虫のことなど改めて勉強しながら、よりよい野菜づくりを目指しています。
技術面以外では、地域に貢献できる農家になりたいですね。私は初対面の人と関わるのが好きなので、農業に関心を持つ人の受け入れも今後はしていきたいです。国立市内だけでなく他地域の人にも畑に足を運んでもらって、地域外の人に国立の農業を知ってもらえればと思います。

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